葺き替えをお考えの方へ

葺き替えとは、既存の屋根を撤去した後、新しい屋根を葺く工法のことです。
屋根材だけではなく、その下の下地(野地板など)まで傷んでしまっている場合には、腐食した下地の交換を兼ねて葺き替えを行います。
また、日本瓦やセメント瓦など、カバー工法では対応できない屋根材も含め、すべての屋根材に適用できる工法です。
一般的に葺き替えの際には、瓦等の屋根材はもちろん、下の土や桟木、防水シートまで撤去します。
下地が傷んでいる場合には、さらに野地板(下地)まで撤去します。
目次
葺き替えにはこんなメリットも
伝統的な日本家屋では、屋根に重い日本瓦が使われ、さらにその下に土が敷かれているため屋根の重量は8トン(土がない場合でも5トン)くらいになります。
右の図のような、先端に重りのついたバネを想像してみてください。
同じ力で揺さぶっても、先端の重りが重い方が大きく揺れますよね?
地震時の家屋の揺れについても同様のことが起こります。
屋根が重かったり、重心が高かったりすると、地震時に受ける力が大きくなり、倒壊する危険性が高まります。
屋根材を日本瓦から金属ルーフに変えたり、瓦の下の土を撤去したりして屋根を軽くすることは耐震性を高める上でとても有効な方法なのです。(※)
※ただし、ごくまれに、屋根を軽くすることでお家のバランスが崩れ、かえって耐震的にマイナスになる場合もあります。詳しくは後ろのほうで解説しています。

和風の趣を残しながら屋根を軽くしたい方には軽量瓦!

でも、「うちの家は和風だから金属ルーフは似合わない……やっぱり瓦がいいんだけど」という方もいらっしゃいますよね。
ご安心ください。瓦でも軽量のものがあります!
伝統的な粘土でつくる陶器瓦ではなく、セメント瓦の一種ですが、その風合いは日本瓦そのもの。
かつ、重量は陶器瓦の半分以下です。
あわせて、施工方法を従来の土や漆喰を使う「湿式工法」からビスで瓦を固定する「乾式工法」に変えることで、屋根面積30坪で約3トン程度の軽量化ができるといわれています。
高機能屋根材で快適性UP
屋根を葺き替える場合には、一般的に金属ルーフとよばれる屋根材がよく使用されます。
これは、耐食性と遮熱性に優れたガルバリウム鋼板に断熱材が貼りつけてあるものです。
下のグラフをご覧ください。
一般的な日本瓦(粘土瓦)に比べると断熱性が格段に違います。

ですから、屋根を葺き替えることで「以前は夏暑くてたまらなかった2階が涼しくなった」なんていう効果も期待できるのです。
葺き替えで気をつけていただきたいこと

葺き替えでよく使う瓦や金属ルーフはどれも高耐久・長寿命ですので、基本的には20年以上メンテナンスフリーです。
でも、屋根材の性能を最大限に発揮させるためには、葺き替える際の下地や工法にも注意が必要です。
雨が吹き上げるように降るときや豪雨の際には、瓦の下に雨水が侵入する場合があります。
どんなに良い屋根材を使って、しっかりと施工したとしても、これは避けられないことなのです。
縦桟工法なら雨水や湿気を排出できる
従来通りの葺き方では、瓦の裏に入った湿気の逃げ道がないため、瓦の裏に湿気がこもってしまい、下地が腐りやすくなります。
ですから、万が一、雨水が侵入してしまった場合でも、雨水や湿気が速やかに外に排出されるように作っておくことが重要です。
そこで有効なのが「縦桟工法」!
瓦を固定するための桟を縦と横に設置することにより、野地板と瓦との間に空気層を作り出します。
これによって、瓦の下に雨水や湿気、熱をこもらせず、下地を腐らせません。
さらに、横桟と縦桟の両方に瓦を固定するため、縦方向にも横方向にも瓦がずれにくくなるというメリットもあります。
注意!!「葺き替え=耐震補強」ではありません
私共にご相談くださるお客様から、「耐震補強をしたいので屋根を葺き替えたい」というお話をよく聞きます。
たしかに一般的には、葺き替えで屋根を軽くすれば耐震性は高まる、といえます。
しかし、ここで注意していただきたいのは、「葺き替え=耐震補強」ではないということです。
葺き替えをしなくても、壁や柱をしっかりと補強することで耐震性を高めることはできますし、逆に、屋根を葺き替えただけでは十分な耐震性を確保できない場合もあります。
また、実際に構造計算をしてみると、屋根を軽くするとお家全体の強さのバランスが崩れて、耐震的にマイナスになる場合も(ごくまれにですが)あります。
屋根が重いことを前提に計算されて建てられている場合などには、お家の強さのバランスが崩れてしまうようです。
まとめ
もし、耐震補強を目的として屋根の葺き替えをお考えになる場合には、本当に葺き替えだけで十分な効果が得られるのか、建築士に相談することをおすすめします。
本当に耐震補強が一番の目的であるならば、屋根の葺き替え以外にも、もっと効果があって費用もかからない方法があるかもしれません。




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